障害福祉サービスに従事する職員の平均賃金は、他の産業の賃金に比較すると低いことを鑑みて、職場の賃金の改善を図るために福祉・介護職員処遇改善加算を創設しています。
福祉・介護職員処遇改善加算とは、障害福祉サービスに従事する職員を対象にした加算であり、法人が雇用している職員の賃金を改善し、職場環境に取り組んでいる事業所に対して、賃金のUPを図るためを目的としています。
毎月、福祉・介護職員処遇改善加算として入ってくる金額分は、法人の売り上げとして計上するものではありません。従業員の基本給のUP、手当金の創設、賞与又は一時金のUPなど何らかの項目において、職員の賃金改善を図り、分配することが必要になります。
従業員の給与をUPする制度として、福祉・介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善加算という。)、福祉・特定介護職員等特定処遇改善加算(以下、特定加算という。)、福祉・介護職員等ベースアップ支援加算(以下、ベースアップ加算の3種類の加算制度がありました。
令和6年の法改正により6月から上記の3種類の加算制度は一本化されました。
令和6年4月と5月の2か月は、旧制度のままですが、6月から新制度を取らないで、旧制度の加算率に近い割合で介護処遇改善加算Ⅴ(1)から(14)を令和7年3月までの引き続き行うことができる猶予期間を設けています。
一本化後の新制度においては、①加算1からⅣの種類ごとのキャリアパス要件、②月額賃金改善要件。③職場環境等要件の2つを満たす必要があります。
キャリアパス要件は、ⅠとⅣまであり、処遇改善等加算ⅠからⅣの4種類の中から取得する加算により下記の求められている要件を満たす必要があります。
キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)
介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それに応じた賃金体系を整備していること。
⇒満たす必要がある加算の種類:処遇改善等ⅠからⅣ
キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
いずれかに関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保する。
ア 研修期間の提供又は魏日指導等の実施、介護職員の能力評価
イ 資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)
⇒満たす必要がある加算の種類:処遇改善等ⅠからⅣ
介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それに応じた賃金体系を整備していること。
キャリアパス要件Ⅲ
いずれかいずれかの仕組みを整備すること。
ア 経験の応じて昇給する仕組み
イ 資格等に応じて昇給する仕組み
ウ 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
⇒満たす必要がある加算の種類:処遇改善等ⅠからⅢ
キャリアパス要件Ⅳ(改善後の賃金額)
経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること。
令和6年度中は月額8万円の改善でも可
⇒満たす必要がある加算の種類:処遇改善等Ⅰ・Ⅱ
※小規模事業所等で加算額全体が少額である場合などは、適用が免除されます。
キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置)
一定割合以上の介護福祉士等を配置していること。
⇒満たす必要がある加算の種類:処遇改善等Ⅰのみ
月額賃金改善要件
月額賃金改善要件は、ⅠとⅡがあります。
月額賃金改善要件Ⅱ
月額賃金改善要件Ⅰは新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、基本給又は決まって毎月支払われる手当の改善のために充てる必要があります。これは令和7年度から適用されます。
月額賃金改善要件Ⅱ
現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の羅棚基本給等の改善(月給の引き上げ)を行います。
処遇改善等加算は、毎年2月末までに提出(ここ数年4月15日に延長)と7月末までに実績報告書の提出と手続きが面倒ですが、従業員の給料がアップしますので、従業員の定着を図ることが可能になります。