共同生活援助+短期入所の開業

共同生活援助の事業所は、①介護サービス包括型(事業者自らが介護サービスの提供を行う)、②外部サービス利用型(介護サービスの提供を必要に応じて外部の居宅介護事業所に委託している)、③日中サービス支援型(常時介護を要する利用者に対して常時の支援体制を確保している)があります。

③の日中サービス支援型の場合は、共同生活援助(グループホーム)に、短期入所を併設又は同一敷地内で、短期入所(空床型不可)を行わなければなりません。

①介護サービス包括型と②外部サービス利用型においては、③の日中サービス支援型のように短期入所の併設等は、義務付けられておりませんが、部屋数に余裕があれば、短期入所の併設も検討の価値があります。

共同生活援助においては、定員は10人までとする役所が多いのですが、10人までとすればよいかと思いますが、実は、定員が8人以上となりますと、①介護サービス包括型では基本報酬に、×95/1000、②外部サービス利用型では基本報酬に、×90/1000の大規模住居等の減算があります。

×95/1000の大規模住居等の減算が大したことがないと思うかそれぞれ事業所様の考えがありますが、複数の報酬も積み重ねれば減算額は大きくなることは間違いありません。

ここでは、最も多いと思われる①の介護サービス包括型と短期入所の併設について、取り上げていきます。

<介護包括型の共同生活援助と短期入所の開業>

共同生活援助は、介護包括型サービスを選択しましたが、短期入所にも、次の3類型がありますので、以下のどの類型で行うか決めておく必要があります。

併設型 障がい者支援施設等に併設され、短期入所の事業を行う事業所として当該障がい者支援施設等と一体的に運営を行う事業所
空床型 利用者に利用されていない障がい者支援施設等の全部又は一部の居室において、指定短期入所の事業を行う事業所
単独型 障がい者支援施設等(共同生活援助事業所等を除く)以外の施設であって、利用者に利用されていない入浴、排せつ及び食事の介護その他の必 要な支援を適切に行うことができる施設の居室において、短期入所の事 業を行う事業所


相談者Aさん相談者Aさん

併設型、空床型、単独型の定義を見てもイメージがわかないのですが、つまりどういうことでしょうか?

田村行政書士田村

これから開設される介護サービス包括型の共同生活援助をメインに、短期入所を説明していきます。

短期入所の併設型とは、例えば、10部屋確保できたとすれば、共同生活援助の大規模住居等の減算(8人以上の場合)を考慮して、共同生活援助は7部屋を使用すると、残り3部屋を有効活用しないともっていないので、3部屋を併設型の短期入所として使用するといったことが考えられます。

空床型は、例えば、7部屋を共同生活援助として使用することになっているのですが、実際は、4部屋しか使用されていない。この間、残り3部屋がずっと使用されていないと、介護報酬が入りませんし、もったいないですね。そのため、共同生活援助で使用されておらず空いている3部屋を短期入所として、使用する場合のことを空床型といいます。なお、共同生活援助がメインですので、使用されている場合は、短期入所として使用できないことに注意ください。

単独型は、その名のとおり、共同生活援助とは別個の独立した短期入所となります。したがって、共同生活援助の人員と設備、短期入所の人員と設備をそれぞれ満たす必要がありますので、建物規模が大きくなり、初期投資費用に余裕がある方向けです。

共同生活援助を開業され、部屋数が余っている方には、短期入所の併設型と空床型がよいかと思います。

短期入所の併設型と空床型は、共同生活援助の人員基準や設備基準に合わせることができます。

つまり、共同生活援助の従業員で、短期入所も行うことができますし、設備も使用できるということです。

共同生活援助の介護サービス包括型の指定基準はこちらをご参照ください。

 ⇒ 共同生活援助の類型ごとの指定基準

共同生活援助、短期入所のほか、もう一つ、介護保険法の共生型短期入所生活介護というのがあります。

2018年4月からとはじまったばかりの新しい制度のため、あまりピンとこない方も多いかと思います。

次項で、共生型短期入所生活介護との関わりを説明しましょう。。

共同生活援助+短期入所に加えて生型短期入所生活介護も開業

共生型サービスとは、2018年4月から実施されました。

障害者総合支援法と介護保険法の2つの法律においては、それぞれ類似するサービスがありますが、障害者総合支援法は、障害者・傷害児にサービスを提供するに対し、介護保険法は、要介護等の65歳以上の高齢者にサービスを提供するものとして、制度が異なります。、

また、法律が異なるため、指定を受けるための人員基準や設備基準が異なります。

つまり、障害者総合支援法の定める人員基準と設備基準、介護保険法に定める人員基準と設備基準をそれぞれ満たす必要がありますので、かなり負担が大きいため、資金に余裕がないと2つの事業を行うことは困難です。

障害者総合支援法の短期入所と介護保険法の人員基準と設備基準を次のとおり、比較してみます。

(障害)短期入所 (介護)短期入所生活介護
人員

共同生活援助に併設する場合

①管理者:1人

②サービス管理責任者:1人(非常勤可)

③世話人:常勤換算数で利用者数
を6で割った数以上

④生活支援員:

常勤換算で以下のイから二の数
(小数点第2位まで算出)を合算
した数以上(小数点第2位を切り上げ)
イ 障害支援区分3の利用者数を9 で割った数
ロ 障害支援区分4の利用者数を6 で割った数
ハ 障害支援区分5の利用者数を4 で割った数
二 障害支援区分6の利用者数を2.5で割った数

①医師1人以上

②生活相談員:1人以上

③介護職員又は看護職員
:常勤換算数で利用者数を3
又はその端数を増すごとに1
人以上

④栄養士:1人以上

⑤機能訓練指導員:1人以上

⑥調理員その他の従業者

設備基準

①定員:2~10人まで

②居室:4名以下

※居室の面積は10.65㎡以上

③その他:台所、トイレ、洗面設備、浴室など

①定員:20人以上

②居室:原則1名

※居室の面積は7.43㎡以上

食堂及び機能訓練指導室:利用者定員×3㎡以上

③その他:トイレ、洗面設備、浴室など

※障害総合支援法の共同生活援助に併設する場合の短期入所の人員や設備基準は、上記のとおり共同生活援助の人員・設備基準に合わせることができます。

上記のとおり、障害総合支援法の短期入所と介護保険法の短期入所生活介護の人員基準と設備基準がかなり異なることが分かります。

そこで、障害者や高齢者の対象者を分け隔てなく、また、一か所で総合的にサービスを行うことができるよう、制度間の基準を緩和し、登場したのが共生型サービスです。

分かりやすく言えば、障害者総合支援法の短期入所の指定を受けている場合は、障害者総合支援法の短期入所の人員・設備基準をもって、同じ場所で介護保険法の共生型の短期入所生活介護の人員・設備基準が緩和され、指定を受けることが可能ということです。

したがって、障害総合支援法の共同生活援助+短期入所の人員・設備、介護保険法の共生型短期入所の人員・設備を分ける必要はなく、同じ場所で、同じ人員で、かつ共用で設備を使えるということです。

ただし、併設型の短期入所(共生型短期入所生活介護含む)で使用する居室と共同生活援助で使用する居室は、分ける必要はあります。



相談者Aさん相談者Aさん

障害者総合支援法の共同生活援助の指定を受けていますが、介護保険法の共生型短期入所生活介護の指定を受けることができますか?

田村行政書士田村

結論として、できません。

あくまでも障害者総合支援法の短期入所の指定を受けている事業者が、制度の類似する介護保険法の共生型短期入所生活介護の指定を受けることができるようにしたものです。

障害者の方が短期入所に入居してサービスを受けているが、65歳に達し、要介護等の認定を受けている場合は、介護保険法が適用されることになります。

これまで利用していた事業者が、短期入所生活介護の指定を受けていない場合は、障害者のサービスしか提供できませんので、退去して別の事業者を利用せざるを得なくなります。事業者側としても、利用者のため短期入所生活介護の指定を受けたいけれど、投資費用の負担が多きいため、困難です。

そこで、基準が緩和された共生型短期入所生活介護をもって、事業者の参入が可能になりました。

なお、逆に、介護保険法の短期入所生活介護の指定を持っている場合は、障害者総合支援法の共生型短期入所として指定を受けることが可能です。この場合は、介護保険法の人員・設備基準にあわせることになります。

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